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楽曲詳細データ 【T】

弦楽合奏曲リストに掲載した楽曲の詳細情報です。

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チャイコフスキー 弦楽のためのセレナーデ ハ長調 Op.48

チャイコフスキー,P.I.

作曲者 チャイコフスキー,ピョートル・イリイチ
Tchaikovsky, Petr Ilych (1840-1893)
曲名 弦楽のためのセレナーデ ハ長調 Op.48
Serenade for strings in C major op.48
作曲年 1880年9月〜10月
楽器編成 弦楽5部
演奏時間 30分
楽章構成 第1楽章 「ソナチネ形式の小曲」 Pezzo in forma Sonatina
      Andante non troppo-Allegro Moderato 6/8 ハ長調
第2楽章 「ワルツ」 Walzer
      Moderato Tempo di valse 3/4 ト長調
第3楽章 「エレジー」 Elegie
      Larghetto elegiaco 3/4 ニ長調
第4楽章 「ロシアの主題による終曲」 Finale(Tema Russo)
      Andante-Allegro con sprito 2/4 ト長調-ハ長調

説明  「弦楽セレナーデ」と呼ばれて親しまれているこの曲が作曲された1880年前後は、チャイコフスキーが交響曲やバレエ音楽といった大作からしばらく遠ざかり、管弦楽用の「第1組曲」(1878-79)を作曲するなど、古典派の形式への傾倒を見せた時期であった。チャイコフスキーは、古典派の中でもとりわけモーツァルトを崇敬しており、「弦楽セレナーデ」でもその様式を積極的に取り入れようとしていた。

 第1楽章は、力強い序奏で開始される。この印象的な序奏主題は、楽器を換え表情を変えて何回か繰り返される。続く主部は展開部のないソナタ形式で書かれており、簡潔な古典派様式に近づいている。特に明るく軽やかな第2主題はモーツァルトへのオマージュを思わせる。

 第2楽章は、ウィンナ・ワルツ風の優美さとフランス風の華やかさを合わせ持ち、さらにチャイコフスキー特有の憂愁も感じさせる洗練された楽章である。1stヴァイオリンが奏でるワルツ主題には、dolce e molto grazioso の指示がある。同じ主題を 2ndヴァイオリンとチェロがユニゾンで繰り返すとき、1stヴァイオリンはそれに華やかな装飾をつける。

 第3楽章は3部形式のエレジー。前の2つの楽章に比べるとロシア的な色彩が濃く、全体がニ長調であるにもかかわらず、チャイコフスキーらしい陰影のある曲想になっている。

 第4楽章の序奏は、第3楽章の終止のレの音を引き継いで静かに始まる。「ロシアの主題による」という副題があるように、序奏と主部の主題にはロシア民謡の素材が使われている。チャイコフスキーは自作のピアノ連弾曲「50のロシア民謡曲集」(1868-69)から2曲を選んで、それぞれ序奏と主部の主題に用いている。

出版社 音楽之友社 OGT122 (ミニチュアスコア)
CD  

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   更新日 2006年6月7日