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楽曲詳細データ 【M】

弦楽合奏曲リストに掲載した楽曲の詳細情報です。

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作曲者名 アルファベット索引
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マルチェッロ,A. オーボエ協奏曲 ニ短調
マルチェッロ,B. イントロダクション、アリアとプレスト
モーツァルト 交響曲第17番 ト長調 K129
モーツァルト ディヴェルティメント ニ長調 K136
モーツァルト ディヴェルティメント 変ロ長調 K137
モーツァルト ディヴェルティメント ヘ長調 K138
モーツァルト ディヴェルティメント第11番 ニ長調 K251

マルチェッロ,A.

作曲者 マルチェッロ,アレッサンドロ
Marcello, Alessandro (1684-1750)
曲名 オーボエ協奏曲 ニ短調
Concerto in D minor for oboe, strings & continuo
作曲年 不明 (出版は 1717年ごろ)
楽器編成 オーボエ・ソロ/弦楽4部、通奏低音
演奏時間 12分
楽章構成 第1楽章 Andante e spicato ニ短調 4/4
第2楽章 Adagio ニ短調 3/4
第3楽章 Presto ニ短調 3/8
説明  アレッサンドロ・マルチェッロはヴェネツィアの貴族の出身で、弟のベネデットと同様に父からヴァイオリンの教育を受けた。音楽だけでなく、絵画、詩作に秀で、哲学、数学にも造詣のある多才の人であった。ヴェネツィアの自邸で毎週のように自作の曲による演奏会を開いたと伝えられるが、今日まで残された曲は少ない。

 このオーボエ協奏曲は、初め J.S.バッハが編曲したチェンバロ独奏用の協奏曲 ニ短調 BWV 974 として知られていた。旧バッハ全集では、原曲はヴィヴァルディの作とされていたが、1923年にラウシュマン(V.R.Lauschmann)が、ハ短調のオーボエ協奏曲として復元し、ベネデット・マルチェッロの作として、ボンの R.フォルベルク社より出版してから一般に広まった。

 その後、原曲の出版譜(何人かの作曲家の作品を集めた「五声部の協奏曲集」 Concerti a cinque, Amsterdam, Jeanne Roger, c.1717年刊の中の1曲として所収)が発見されて、アレッサンドロ・マルチェッロのニ短調のオーボエ協奏曲として確認された。

 こうした経緯があったので、現在でもベネデットの作とされたハ短調の楽譜や録音が残っていて混乱することがある。

 曲は、急-緩-急の3楽章で構成される。第1楽章はヴァイオリンとヴィオラのユニゾンによるリトルネロ主題が印象的である。第2楽章ではオーボエ・ソロの哀愁に満ちたカンティレーナが美しい。この楽章がイタリア映画「ヴェニスの愛」(1970年)に使われたため、曲が一躍ポピュラーとなり、「ヴェニスの愛」の副題で呼ばれることがある。第3楽章は、急速な16分音符の主題による舞曲風の2部形式である。


【付録】
 J.S.バッハは、マルチェッロのオーボエ協奏曲以外にも、多くのイタリアの作曲家の作品をチェンバロ独奏用の協奏曲に編曲した。これらは 1708〜1717年のヴァイマール宮廷時代に作られたものと推定されている。

協奏曲 ニ長調 BWV 972
 → ヴィヴァルディ 「調和の霊感」 ニ長調 Op.3-9

協奏曲 ト長調 BWV 973
 → ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲 ト長調 Op.7-8

協奏曲 ニ短調 BWV 974
 → A.マルチェッロ オーボエ協奏曲 ニ短調

協奏曲 ト短調 BWV 975
 → ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲 ト短調 Op.4-6

協奏曲 ハ長調 BWV 976
 → ヴィヴァルディ 「調和の霊感」 ホ長調 Op.3-12

協奏曲 ヘ長調 BWV 978
 → ヴィヴァルディ 「調和の霊感」 ト長調 Op.3-3

協奏曲 ト長調 BWV 980
 → ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲 変ロ長調 Op.4-1

協奏曲 ハ短調 BWV 981
 → B.マルチェッロ 合奏協奏曲 ホ短調 Op.1-2

出版社 ブライトコップ&ヘルテル Musica Rara MR1891B
edited by H.Voxman
CD  

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マルチェッロ,B.

作曲者 マルチェッロ,ベネデット
Marcello, Benedetto (1686-1739)
曲名 イントロダクション、アリアとプレスト
Introduzione-Aria-Presto
作曲年 不明
楽器編成 弦楽5部(各2div)
演奏時間 9分
楽章構成 第1楽章 イントロダクション (Introduzione) Presto イ短調 2/4
第2楽章 アリア (Aria) Lento, con espressione イ短調 4/4
第3楽章 プレスト Presto イ短調 3/8
説明  ベネデット・マルチェッロは、ヴィヴァルディと同時代に同じヴェネツィアで活躍した作曲家、著述家である。貴族の出身で、ヴェネツィア共和国の40人委員会の要職を歴任するかたわら、声楽曲を中心とする多数の作品を残した。著述家としては「当世流行劇場」(1720)で当時のオペラ界の舞台裏を描いて風刺している。

 オーボエ協奏曲で有名な兄のアレッサンドロと同じく、父からヴァイオリンを習ったが、ヴァイオリンを好まずあまり練習しなかったらしい。歌を好んで、F.ガスパリーニに声楽と対位法を学んだ。そのせいか器楽曲より声楽曲にすぐれた作品が多く、代表作は詩篇に基づく「詩的・音楽的霊感」(1724-26)である。

 「イントロダクション、アリアとプレスト」は、マルチェッロのオリジナル作品ではない。原曲はマルチェッロの作曲年不詳の「12のチェンバロソナタ」の第7番イ短調で、5楽章ある原曲の1,2,4楽章を抜粋して E.Bonelli が弦楽合奏用に編曲したものである。

 中間楽章の「アリア」は原曲にその名はなく、単に "Cantabile e largo" とだけ記されている。歌を好んだマルチェッロらしい、たいへん美しい歌謡楽章である。

出版社 G. Zanibon 3310 フルスコア
G. Zanibon 3311 パート譜
CD ルイ・オーリアコンブ指揮/トゥールーズ室内管弦楽団
Louis Auriacombe/Orchestre de chambre de Toulouse
Perles du Baroque (Accord 476 9004)
「バロック名曲集」の中に B.Marcello の Concerto pour orchestre a cordes として収録されている。

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モーツァルト,W.A.

作曲者 モーツァルト,ウォルフガング・アマデウス
Mozart, Wolfgang Amadeus (1756-1791)
曲名 交響曲 第17番 ト長調 K129
Sinfonie Nr.17 in G dur, KV129
作曲年 1772年5月
楽器編成 オーボエ2、ホルン2、弦楽4部
演奏時間 12分
楽章構成 第1楽章 Allegro  ト長調 4/4
第2楽章 Andante ハ長調 2/4
第3楽章 Allegro  ト長調 3/8
説明  この交響曲は、1772年5月にザルツブルクで作曲された。その前年1771年12月、モーツァルトのよき理解者であったザルツブルク大司教ジギスムント・フォン・シュラッテンバッハが死去し、翌年3月ヒエロニムス・フォン・コロレドが後任として就任した。そして同年8月、モーツァルトは弱冠16歳にしてザルツブルク大司教宮廷楽団の首席ヴァイオリン奏者となった。モーツァルトはこの年に第15番から第21番までの交響曲を作曲したが、その中でも第16番(KV128)と第17番(KV129)は、コロレド大司教就任記念行事で演奏された可能性が高い。

 この曲は、「速い」-「ゆっくり」-「速い」といった3楽章構成で書かれ、楽器編成も弦楽合奏にオーボエ2本、ホルン2本と比較的簡素な編成の作品となっている。しかし簡素な構成のなかにも、各声部を対等に絡ませたり、内声部を充実させたりと、作曲技法の面で手の込んだ作品に仕上げている。モーツァルトはこの交響曲を通じて、自分が熟練した一人前の職人であることを新任大司教にアピールしようとしたのかもしれない。

出版社 ベーレンライター「新モーツァルト全集」
Bärenreiter BA4502
CD コープマン指揮/アムステルダム・バロック管弦楽団
Ton Koopman/Amsterdam Baroque Orchestra
Erato 2292-45714-2 (1991年)

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作曲者 モーツァルト,ウォルフガング・アマデウス
Mozart, Wolfgang Amadeus (1756-1791)
曲名 ディヴィルティメント ニ長調 K136
Divertimento in D major, K.136(125a)
作曲年 1772年1月〜3月頃
楽器編成 弦楽4部
演奏時間 14分
楽章構成 第1楽章 Allegro ニ長調 4/4
第2楽章 Andante ト長調 3/4
第3楽章 Presto 二長調 2/4
説明  ディヴェルティメントとは、Divertissement (気晴らし、楽しみ)から来た言葉で、モーツァルトが活躍した18世紀後半に宮廷の食卓や貴族の夜会で盛んに演奏された実用音楽である。楽器編成や楽章構成もさまざまで、貴族の婚礼や誕生祝いなど、そのときどきの夜会や祝典の内容にふさわしい音楽が作曲された。

 1772年のはじめにザルツブルクで作曲された3曲のディヴェルティメント(K136, K137, K138)は、どれも3楽章構成の弦楽合奏曲である。これら3曲はまとめて作曲されたらしく、草稿では同じ五線譜に一気に書き下ろされているという。

 この三部作が何のために作曲されたのかはわかっていない。作曲動機についてアインシュタインは、「モーツァルトは『ルチオ・シルラ』(K135)の作曲中にシンフォニーの作曲を求められるようなことがあっても邪魔をされないように、最後のイタリア旅行に持参する予備としてこれらの曲を書いたのであり、その後現地ミラノで、必要と可能性に応じて両端楽章に管楽器をつけ加えたのである、とわたしは信ずる」と推察している。

 楽器編成についても弦楽合奏なのか弦楽四重奏なのか諸説ある。属啓成は、「ファクシミリによって判断される限りでは、ヴァイオリン(Violini)と書かれた複数形は第一、第二ヴァイオリンを指すのかも知れないにしても、ヴィオラ(Viole)までも複数形になっているのは弦楽合奏を要求するものに思える」と述べている。先に引用したアインシュタインの「シンフォニー準備説」も弦楽合奏説を支持するようだ。

 第1曲にあたるニ長調 K136 は、若いころのモーツァルトのニ長調の曲に特有な明るさと生命力に満ちている。3曲のうちでもっとも演奏会で演奏されることが多く、モーツァルト初期の傑作に数えられる。

出版社 ベーレンライター「新モーツァルト全集」
Bärenreiter BA4860
CD コープマン指揮/アムステルダム・バロック管弦楽団
Ton Koopman/Amsterdam Baroque Orchestra
Apex 2564601532 2003年6月23日
参考文献
属啓成「モーツァルトIII 器楽篇」 音楽之友社 (1975)
アルフレート・アインシュタイン「モーツァルト その人間と作品」 浅井真男訳 白水社(1997) ※原著は 1942年刊。

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作曲者 モーツァルト,ウォルフガング・アマデウス
Mozart, Wolfgang Amadeus (1756-1791)
曲名 ディヴィルティメント 変ロ長調 K137
Divertimento in B flat major, K.137(125b)
作曲年 1772年1月〜3月頃
楽器編成 弦楽4部
演奏時間 12分
楽章構成 第1楽章 Andante 変ロ長調 3/4
第2楽章 Allegro di molto 変ロ長調 4/4
第3楽章 Allegro assai 変ロ長調 3/8
説明  1772年に作曲された3曲のディヴェルティメント(K136, K137, K138)の第2曲。3楽章構成だが、他の2曲が急・緩・急の構成を取るのに対して、この曲だけ第1楽章と第2楽章が入れ替わって緩・急・急になっている。

出版社 ベーレンライター「新モーツァルト全集」
Bärenreiter BA4860
CD コープマン指揮/アムステルダム・バロック管弦楽団
Ton Koopman/Amsterdam Baroque Orchestra
Apex 2564601532 2003年6月23日

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作曲者 モーツァルト,ウォルフガング・アマデウス
Mozart, Wolfgang Amadeus (1756-1791)
曲名 ディヴィルティメント ヘ長調 K138
Divertimento in F major, K.138(125c)
作曲年 1772年1月〜3月頃
楽器編成 弦楽4部
演奏時間 12分
楽章構成 第1楽章 Allegro ヘ長調 4/4
第2楽章 Andante ハ長調 3/4
第3楽章 Presto ヘ長調 2/4
説明  1772年に作曲された3曲のディヴェルティメント(K136, K137, K138)の第3曲。明るく躍動的な第1楽章は無造作に上行する三和音で始まる。活発に動く伴奏パートの上で 1stヴァイオリンが終始のびやかに歌い、展開部の短調でも翳りがない。第2楽章は 1stヴァイオリンが奏でるセレナーデで、他のパートが細かい音型で織り成す伴奏が美しい。第3楽章は全パートが元気に躍動するロンドである。

出版社 ベーレンライター「新モーツァルト全集」
Bärenreiter BA4860
CD コープマン指揮/アムステルダム・バロック管弦楽団
Ton Koopman/Amsterdam Baroque Orchestra
Apex 2564601532 2003年6月23日

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作曲者 モーツァルト,ウォルフガング・アマデウス
Mozart, Wolfgang Amadeus (1756-1791)
曲名 ディヴィルティメント 第11番 ニ長調 K251
Divertimento No.11
作曲年 1776年7月
楽器編成 オーボエ1、ホルン2、弦楽4部
演奏時間 23分
楽章構成 第1楽章 Allegro Molto ニ長調 4/4
第2楽章 Menuetto ニ長調 3/4
第3楽章 Andantino - Allegretto イ長調 2/4
第4楽章 Menuetto ニ長調 3/4
第5楽章 Rondo, Allegro assai ニ長調 2/2
第6楽章 Marcia alla francese ニ長調 2/2
説明  モーツァルトの姉ナンネルの霊名祝日のために作曲された。弦楽パートは弦楽四重奏で演奏されることもあり、「ナンネル七重奏」とも呼ばれる。

 全楽章がフランス風の曲想で統一され、お祝いにふさわしい華やいだ雰囲気を持つ。オーボエが 1stヴァイオリンと交替でメロディーを演奏して活躍するのも、この曲の魅力である。

出版社 ベーレンライター「新モーツァルト全集」
Bärenreiter BA4574
CD コープマン指揮/アムステルダム・バロック管弦楽団
Ton Koopman/Amsterdam Baroque Orchestra
Apex 2564601532 2003年6月23日

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   更新日 2009年7月6日