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楽曲詳細データ 【H】

弦楽合奏曲リストに掲載した楽曲の詳細情報です。

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作曲者名 アルファベット索引
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ヘンデル オーボエ協奏曲第3番 ト短調 HWV287
ヘンデル オラトリオ「メサイア」序曲(シンフォニア) HWV56
ヘンデル オラトリオ「ソロモン」より「シバの女王の入城」 HWV67
ホヴァネス アレルヤとフーガ Op.40b

ヘンデル,G.F.  

作曲者 ヘンデル,ゲオルグ・フリードリヒ
Handel, Georg Friedrich (1685-1759)
曲名 オーボエ協奏曲第3番 ト短調 HWV287
Oboe Concerto No.3 in g minor
作曲年 1703年頃?
楽器編成 オーボエ・ソロ/弦楽4部、通奏低音
演奏時間 10分
楽章構成 第1楽章 Grave ト短調 4/4
第2楽章 Allegro ト短調 4/4
第3楽章 Sarabande Largo 変ロ長調 3/4
第4楽章 Allegro ト短調 3/4
説明  ヘンデルが18歳のころ、ハンブルクの歌劇場で第2ヴァイオリンや通奏低音の奏者をしていた時代の作品と推定されるが確証はない。3曲あるオーボエ協奏曲の中では、この第3番がもっともよく演奏される。

 第1楽章の Grave では、ヘンデルらしい付点リズムを 1st/2nd 両ヴァイオリンが掛け合いで演奏する中、奏でられるオーボエの旋律が美しい。第4楽章 Allegro の主題は、オルガン協奏曲 Op4-3 の第2楽章にも登場する。
 
出版社 Edwin F. Kalmus, New York
CD Anthony Camden(オーボエ)
Nicholas Ward 指揮/ City of London Sinfonia
Naxos 8.553430

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作曲者 ヘンデル,ゲオルグ・フリードリヒ
Handel, Georg Friedrich (1685-1759)
曲名 オラトリオ「メサイア」序曲(シンフォニア) HWV56
"Sinfonia" from "Messiah"
作曲年 1741年8月22日〜9月14日(「メサイア」全曲)
楽器編成 (オーボエ2、ファゴット2)、弦楽4部、通奏低音
演奏時間 4分
楽章構成 Grave ホ短調 4/4
Allegro moderato ホ短調 4/4
説明  アイルランド総督から慈善のための予約演奏会開催を依頼されたヘンデルは、オラトリオ「メサイア」を1741年8月末からわずか3週間で作曲した。「メサイア」は救世主到来の預言と降誕から受難、復活、栄光までを聖書からの引用によって謳いあげた作品で、1742年4月にダブリンで初演されて大成功をおさめた。

 ロンドンでの初演は翌1743年3月だったが、ここでの聴衆の反応は冷たかった。当時のロンドンの聴衆は、ピューリタンの中産階級が中心となってきていた。彼らにとって、「聖句そのもの」が歌われる「メサイア」を教会ではなく劇場で上演することは、神への冒涜と感じられた。「メサイア」がロンドンで受入れられるのは、1750年以降、孤児養育院での慈善演奏会で「メサイア」上演が恒例化してからであった。

 一方、「メサイア」と同時期にロンドンで初演されたオラトリオ「サムソン」は成功し、ヘンデルはその創作の中心を歌劇からオラトリオへと移してゆく。以降「セメレ」「ヘラクレス」「ソロモン」「テオドーラ」など、オラトリオの傑作が次々と生み出されてゆくことになった。

 「メサイア」は3部から構成されており、第1部が「預言と降誕」、第2部が「受難と贖罪」、第3部が「復活と永遠の生命」を主題としている。台本作者ジェネンズは、新約、旧約の聖書から聖句を選んで、新たな文脈の中に再構成した。有名なハレルヤコーラスは第2部の最後に置かれている。

 「メサイア」序曲は第1部冒頭のシンフォニアで、全曲の導入部に相当する。「序曲」の呼び名はヘンデル自身が名付けたものではなく通称である。フランス風序曲の形式で書かれており、付点のリズムによる遅い部分(Grave)とフーガ風に開始される速い部分(Allegro moderato)で構成されている。

 Grave はわずか12小節と短いながらも、救世主の波瀾に満ちた物語を予告するかのように起伏に富んでいる。Allegro moderato では主題が 1stヴァイオリン、2ndヴァイオリン、チェロの順に登場し、その直後に主題から導き出された副主題が 2ndヴァイオリン、1stヴァイオリン、チェロの順に現れる。3声のフーガのような開始であるが、その後はフーガ的な発展はせず、主題と副主題の掛け合いを中心に曲は進み、劇的な盛り上がりを見せる。

出版社 ベーレンライター「新ヘンデル全集」
Bärenreiter BA4012
CD  
参考文献 三澤寿喜「作曲家◎人と作品 ヘンデル」音楽之友社 (2007)

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作曲者 ヘンデル,ゲオルグ・フリードリヒ
Handel, Georg Friedrich (1685-1759)
曲名 オラトリオ「ソロモン」より「シバの女王の入城」 HWV67
"Arrival of the Queen of Sheba" from "Solomon"
作曲年 1748年5月5日〜6月13日(「ソロモン」全曲)
楽器編成 オーボエ2、弦楽4部、通奏低音
演奏時間 3分
楽章構成 Sinfonia 変ロ長調 4/4
説明  紀元前10世紀、ダビデ王から王位と領土を継承したソロモンは、強大な軍事力と、エジプトを始めとする周辺諸国との国際政策とによって王国を統治し、古代イスラエルに最大の繁栄をもたらした。英明な王ソロモンは、さまざまな施策で中央集権化を進め、諸国との交易や朝貢で莫大な富を蓄積し、都エルサレムに壮麗な神殿と王宮を造営した。ソロモンの知恵と栄華は諸国に知れ渡り、人々はその知恵を聞くために拝謁を求めたと伝えられる。

 ソロモンの名声を聞いたシバの国の女王は、難問をもってその知恵を試そうとやって来た。多くの金、香料、宝石をラクダに積んで、大勢の随員を隊列に仕立ててエルサレムに入城した女王が見たものは、それまでの想像をはるかに上回る国際都市の繁栄ぶりだった。

 「ソロモンのところに来ると、彼女はあらかじめ考えておいたすべての質問を浴びせたが、ソロモンはそのすべてに解答を与えた。王に分からない事、答えられない事は何一つなかった。
 シェバの女王は、ソロモンの知恵と彼の建てた宮殿を目の当たりにし、また食卓の料理、居並ぶ彼の家臣、丁重にもてなす給仕たちとその装い、献酌官、それに王が主の神殿でささげる焼き尽くす献げ物を見て、息も止まるような思いであった」 (旧約聖書 列王記 上 10.3-5)

 オラトリオ「ソロモン」は 1748年、ヘンデルが63歳のときに作曲され、翌49年にロンドンで初演された。台本は旧約聖書の「列王記」「歴代誌」に基づいており、台本作者は T.モレルではないかと言われるが不明である。

 「ソロモン」全曲は3部で構成されていて、第1部が「ソロモンの信仰」、第2部が「ソロモンの知恵」、第3部が「ソロモンの栄華」を題材にしている。今日では全曲が演奏されることはほとんどないが、第3部の導入曲に当たるシンフォニアだけは、いつのころからか「シバの女王の入城」と呼ばれて単独で演奏される機会が多い。

 曲はわずか3分の単一楽章で、終始活発に動くヴァイオリンの16分音符の分散和音がソロモンの宮廷の絢爛たる華やかさを、2本のオーボエ・ソロが女王一行を歓迎する王宮のラッパを思い起こさせるかもしれない。ヘンデル自身が名付けた曲名ではないのに、もっともらしく聴こえてしまうところに、この曲の持つ魅力があるのかもしれない。

出版社 Edwin F. Kalmus A1538 フルスコア
CD ピノック指揮/イングリッシュ・コンサート
Trevor Pinnock/The English Concert
Archiv New Best 50 UCCA-3158 (2002年)
参考文献 Gerald Abraham "Handel, a Symposium" Oxford University Press, 1954
「聖書 新共同訳」 日本聖書協会 (1987)

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ホヴァネス,A.

作曲者 ホヴァネス,アラン
Hovhaness, Alan (1911-2000)
曲名 アレルヤとフーガ Op.40b
Alleluia and Fugue
作曲年 1941年
楽器編成 弦楽10部(1st/2ndVn各3div, Va, Vc-2div ,Cb)
演奏時間 10分
楽章構成 アレルヤ Alleluia - Andante 4/4
フーガ  Fugue - Moderato 4/4
説明  アラン・ホヴァネス(1911〜2000)は、ボストン郊外のサマーヴィルで生まれた20世紀のアメリカの作曲家である。1930年代にニュー・イングランド音楽院で作曲を学び、当初はシベリウスに傾倒して後期ロマン派的な作風を示したが、1940年代になると、次第に父の故郷であるアルメニアの音楽に惹かれていった。1960年代に初めて日本を訪れた後は、日本の雅楽や朝鮮の宮廷音楽に影響を受けて、東洋的、神秘的な作品を作曲するようになった。たいへんな多作家で、その曲数は生涯に交響曲67曲を含め400曲を数えるという。代表作は、交響曲第2番「神秘の山」(1955)、管弦楽曲「そして神は大いなる鯨を作りたもうた」(1970)など。 

 「アレルヤとフーガ」(1941)は初期の作品で、アレルヤ(主を賛美せよ、の意)という曲名から想像されるように宗教的な色彩が濃い。このころアルメニア教会でオルガン奏者を勤めていたホヴァネスは、アルメニアの古い礼拝音楽で用いられる旋法の影響を受けていたらしい。

 曲はゆっくりしたアレルヤと幾分速いフーガの2部で構成されている。アレルヤでは全楽器による静かな導入部の後、ヴァイオリンが奏する祈りのようなメロディーを他の楽器が1小節または半小節遅れで模倣する。フーガは第2チェロのテーマで始まり、次第に各楽器が重なって緻密な合奏に発展する。

出版社 Broude Brothers, New York
CD Gerard Schwarz 指揮/ Seattle Symphony Orchestra
Delos DE3157 (1994年)

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   更新日 2008年3月25日