楽曲詳細データ 【D】
弦楽合奏曲リストに掲載した楽曲の詳細情報です。
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作曲者名 アルファベット索引
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作曲者 |
デュランテ,フランチェスコ (ドゥランテという表記もあり)
Durante, Francesco (1684-1755) |
曲名 |
四声の協奏曲(協奏四重奏曲)第1番 ヘ短調
Concerto No.1 in F minor
from "8 Quartetti concertanti per archi" |
作曲年 |
正確には不明。出版されず手稿譜として残された。 |
楽器編成 |
2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ・ソロ/弦楽4部、通奏低音 |
演奏時間 |
12分 |
楽章構成 |
第1楽章 Poco andante - Allegro ヘ短調 4/4
第2楽章 Andante ハ短調 3/4
第3楽章 Amoroso ヘ短調 4/4
第4楽章 Allegro ヘ短調 4/4
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説明 |
デュランテは、作曲家としてだけなく、サントノフリオ音楽院、サンタ・マリア・ディ・ロレート音楽院、ジェズ・クリスト音楽院といった主要な音楽院で教鞭を取り、音楽教師としても名声が高かった。デュランテのもとからは、ペルゴレージ、ヨメルリ、ピッチーニ、パイジェルロなどといった数多くの作曲家が輩出された。
デュランテの弟子たちが後に歌劇作曲家として名声を博したのに対して、師匠自身は劇音楽には見向きもしないで、宗教音楽や器楽曲の分野に作品を残した。8曲ある四声の協奏曲は、宗教音楽の大家の作品らしく、対位法的な書法を用いて厳格な雰囲気を漂わせている。その一方でゆったりとした楽章では、オペラのアリアを思わせるような美しいメロディが奏でられる。
各曲とも、協奏曲とはいっても、コレルリの合奏協奏曲のようなソロとテュッティの対比にそれほど主眼が置かれていない。したがって弦楽合奏でなくても弦楽四重奏としても演奏が可能である。
全8曲は以下のとおり。
第1番 ヘ短調、 第2番 ト短調、
第3番 変ホ長調、 第4番 ホ短調、
第5番 イ長調、 第6番 イ長調、
第7番 ハ長調、 第8番 イ長調
哲学者であり作曲家でもあったジャン・ジャック・ルソーは、デュランテを「イタリアでもっとも偉大なるハーモニスト」と賞賛した。また、デュランテの一つ年下にあたるJ.S.バッハは、デュランテが作曲したミサ曲の楽譜を所蔵し、この曲への挿入曲として「キリエ」ト短調BWV242を作曲した。
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出版社 |
ショット社
B.Schott's Sohne |
CD |
●コレギウム・アウレウム合奏団
COLLEGIUM AUREUM
ヘ短調、ト短調、ホ短調、ハ長調を収録
LP harmonia mundi ULX-3165-H
この録音はCDではなくLP。現在はおそらく手に入らないかもしれない。デュランテの演奏としては名盤なので、CD化を期待したい。
●コンチェルト・ケルン
CONCERTO KOLN
ヘ短調、ト短調、変ホ長調、ホ短調、イ長調、イ長調"La Pazzia"を収録
CAPRICCIO 10 371
●アカデミア・ビザンチナ
ACCADEMIA BIZANTINA
「18世紀のナポリ〜音楽と民謡」ヘ短調のみ収録
DENON 80863 1994年9月5日〜7日
●Eivund Aadland指揮 European Union Chamber Orchestra
"Concertos for the Kingdom of the Two Sicilies "ヘ短調のみ収録
helios CDH55005 1988年3月28日〜29日
●トーマス・ヘンゲルブロック指揮/
バルタザール=ノイマン・アンサンブル&合唱団
THOMAS HENGELBROCK(cond)/
BALTHASAR=NEUMANN-ENSEMBLE
@Alessandro Scarlatti:Concerto grosso f-moll/F minor
AJohann Sebastian Bach:Psalm 51 BWV1083(after the Stabat mater by Giovanni Battista Pergolesi)
BFrancesco Durante:Concerto per archi g-moll/G minor
DHM 05472 77508 2 1998年12月7〜10日
【参考】ヘンゲルブロック/バッハの音楽書庫から 第2集
「J.S.バッハの音楽書庫から 第2集」
J.S.バッハが、デュランテのミサ曲ハ短調への挿した「キリエ」ト短調BWV.242を収録。
@パッヘルベル:復活聖日のためのカンタータ『キリストは死の縄目につながれたり』
AJ.S.バッハ:キリエ ハ短調 BWV Anh.26
BJ.S.バッハ:キリエ ト短調 BWV.242(フランチェスコ・デュランテ作に基づく)
CJ.S.バッハ:復活祭カンタータ『キリストは死の絆につきたまえり』BWV.4
Dヨハン・カスパー・ケルル:ミサ・スペルバ
Eヨハン・カスパー・ケルル:主は王となられる
トーマス・ヘンゲルブロック(指揮)/
バルタザール=ノイマン・アンサンブル&合唱団
THOMAS HENGELBROCK(cond)/
BALTHASAR=NEUMANN-ENSEMBLE
Hanssler Swr Music 10503012 2001年3月15日〜17日
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作曲者 |
ドヴォルザーク,アントニン
Dvorak, Antonin (1841-1904) |
曲名 |
弦楽のためのセレナーデ ホ長調 Op.22
Serenade for String Orchestra in E major, Op.22 |
作曲年 |
1875年5月3日〜5月14日 |
楽器編成 |
弦楽5部 |
演奏時間 |
28分 |
楽章構成 |
第1楽章 Moderato ホ長調 4/4
第2楽章 Tempo di Valse 嬰ハ短調 3/4
第3楽章 Scherzo, Vivace ヘ長調 2/4
第4楽章 Larghetto イ長調 2/4
第5楽章 Finale, Allegro vivace 嬰へ短調−ホ長調 2/4
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説明 |
大器晩成型だったドヴォルザークは、30歳までは作曲家としては無名で、プラハの楽団でヴィオラ奏者を務めながら、貧困の中で作曲をしていた。この時代に書かれた曲は世間から注目されず、多くは作曲者自身の手によって破棄されたと伝えられる。
1870年代になってようやく作品がプラハで演奏されるようになり、1873年に初演された讃歌「ビーラー・ホラの後継者たち」の成功でプラハの楽壇に認められた。同年、アルト歌手のアンナ・チェルマーコヴァーと結婚し、貧しいながらも幸福な家庭生活が始まった。
1875年2月、33歳のドヴォルザークは、前年に応募していた「交響曲第3番」によって、オーストリア政府奨学金を獲得した。受賞にあたっては、ウィーン楽友協会の芸術監督であったブラームスの強い推薦があったという。1863年に設立されたこの奨学金制度は「若くて貧しく、才能に恵まれた芸術家」に対して1年間に400グルデンが与えられるものであった。当時のドヴォルザークの年間収入は、プラハの聖アダルベルト教会のオルガン奏者やピアノ教師の報酬などを合わせても
180グルデン程度だったから、400グルデンの奨学金は夢のような大金だったことだろう。
生活の心配をすることなく作曲に専念することができるようになったこの年に「弦楽五重奏曲 ト長調 Op.77」や「ピアノ四重奏曲 ニ長調 Op.23」、「交響曲第5番
Op.76」などが次々に作曲された。作風もドイツ後期ロマン派の圧倒的な影響から脱し始め、チェコの音楽を取り入れた独自の語法がみられるようになってきた。5月に書かれた「弦楽のためセレナーデ」には、この時期の作曲者の喜びと自信を背景にした幸福感が感じられる。
第1楽章 モデラート ホ長調 4/4拍子 3部形式
ヴィオラが刻む8分音符の伴奏に乗って、第2ヴァイオリンが穏やかなメロディーを語りかけるように歌い、チェロが応答する。中間部はト長調の付点のリズムによる飛び跳ねるようなテーマで、これも第2ヴァイオリンから始まる。第3部で最初のテーマが戻ってくると、メロディーを受け持つ楽器が変わり、対旋律も工夫されていっそう豊かな響きになる。2台のチェロによるソロの部分が美しい。
第2楽章 テンポ・ディ・ヴァルス 嬰ハ短調 3/4拍子
一転して短調の優美なワルツである。楽譜上の調号はシャープ♯3つだが、実際には登場する「レ」の音にすべて♯が付いているので、#4つの嬰ハ短調である。中間部はフラット♭5つで変ニ長調の叙情的なトリオになっている。
第3楽章 スケルツォ、ヴィヴァーチェ ヘ長調 2/4拍子
生き生きとした2拍子のスケルツォ。チェロが先導するテーマを1小節遅れて第1ヴァイオリンが追いかけるカノン風の出だしで軽快に始まる。中間にはさまれるイ長調のトリオでは、ヴァイオリンのしっとりしたメロディーに対して伴奏するヴィオラのリズム音型がおもしろい。
第4楽章 ラルゲット イ長調 2/4拍子
切々と歌うメロディーが美しい緩徐楽章。フェリーニ監督のイタリア映画「道」(1954)のためにニーノ・ロータ(1911〜79)が作曲したジェルソミーナの歌を思わせる。ドヴォルザーク研究家のショウレックは「(全5楽章の中でも)とりわけ喜びに満ちた幅広さと旋律的な美しさを持つノクターン」と賛美している。佐川吉男はおそらくこの言葉を受けて、この楽章の中間部を「星降る夜空」と表現している。
第5楽章 終曲、アレグロ・ヴィヴァーチェ 嬰へ短調−ホ長調 2/4拍子
みずみずしい生命力にあふれたフィナーレ。エネルギッシュなテーマがここでもカノン風に登場する。そのテーマから導き出された8分音符の音型が生き生きと脈打つように曲を支える。曲の中程で第4楽章のメロディーがチェロに現れる箇所がある。最後に第1楽章のテーマが回想された後、プレストになって力強く全曲を閉じる。
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出版社 |
オイレンブルク社 Eulenburg Pocket-score No.896 (スコア)
カルマス社 Edwin F. Kalmus (スコアとパート譜) |
CD |
Jiri Belohlavek指揮/Prague Chamber Philharmonic Orchestra
Supraphon SU3157 (1996年10月28日) |
参考文献 |
ショウレック「ドヴォルジャーク 生涯と作品」(渡鏡子訳) 音楽之友社 (1961) Otakar Sourek "Antonin
Dvorak, his Life and Works" Orbis-Prague, 1952
音楽之友社編「作曲家別名曲解説ライブラリー6 ドヴォルザーク」 音楽之友社 (1993)
内藤久子「作曲家◎人と作品 ドヴォルジャーク」音楽之友社 (2004)
佐川吉男「チェコの音楽 −作曲家とその作品」芸術現代社 (2005)
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